1945[昭和20]年の終戦を迎えてから68年になります。焦土と化した国土に未来を描く…そのことに情熱を傾けることが、私にとって戦後の国土計画にかかわる出発点でした。国土の上に絵を描くことはしても紙の上に文章を書くことはしないことにしていましたから、私自身の著作は極めて少ないけれども、それぞれの時代で手掛けてきたプロジェクトについて、関連する資料は私なりに整理し保管してきました。
20世紀の日本は、爆発的な人口増、経済大国への変貌、高齢化社会、さらには東京圏域に人類未踏の3000万人が集中するという巨大都市圏の出現など、劇的な展開を遂げました。戦後の半世紀、国土計画の担当者としては、常に計画の成否を問われつつ、策定に挑戦してきたと思います。
21世紀を迎え、人口は減少に傾きつつあり、経済についてはGDPで中国に抜かれ第3位となり、また出生率の低下とも相まって超高齢化社会へと加速し、東京圏域への人口集中は一向に衰えを見せません。
38万平方キロメートルの国土を取り巻く環境は、時代とともにめまぐるしい変化を見せています。このような状況にあって、日本の国土というものをどうとらえていくのか。私は、「国土を論ずるということは、人と自然のかかわり方をいろいろな角度から論ずる」ということだろうと考えており、常に、歴史的に見るというアプローチを大切にしてきました。
開設される「戦後国土計画関連資料アーカイヴス」が、次代を担う皆さんのお役に立てば幸甚です。
2013年6月23日
沖縄「慰霊の日」に
下河辺 淳