政策はすべて、現在よりも良き状態を未来において構築するという構造を持つ。政策は本来的に未来志向的である。このため、政策主体がどのような未来観を持っているかということがきわめて重要なのだ。
ところで、総理大臣の国会演説において未来への言及が現在への言及を継続的に上回るようになったのは1990年以後のことである。これは近年の総理演説が持つ顕著な特徴である。ここで総理演説とは、総理大臣個人ではなく、中枢的な政策主体の集合的意思と考えれば、「総理演説は何故未来への関心を高めたのか」という問を解明すれば、政策主体の未来観を間接的ながら推測することができるだろう。
そう考えて、「総理演説は何故、未来への関心を高めたのか」という問をめぐってあれこれ考えている。今回はその2回目である。
その結果、政策的要因としてはリスク型課題の増加、受益者と負担者の不一致、社会的要因としては自省化の進行という合計3つの要因が仮説的に考えられた。
「総理演説は何故未来への関心を高めたのか? その2 」(クリックすると掲載内容がご覧いただけます。))